日記

ポルノグラフィティとジャンプとアドベンチャーゲームとお笑いで生きています。ツイッターに書きづらいことを書く予定です。

十三機兵防衛圏が面白かった

十三機兵防衛圏(PS4)が面白かった。よくもまぁこんなストーリーを完成させたものだ…と、作り手の意地や執念を感じた。

評判が良かったので2月くらいには買っていたのだが、他のゲームをやるのに忙しく、実際プレイしたのは3月下旬から4月中旬ごろ。発売日に買ってすぐにやっておくべきだったと後悔した。

 

評判に違わぬ傑作なので、そもそもアドベンチャーゲームが好きな人、特に428が好きな人は絶対にハマるし、SF、ロボット、ジュブナイル、群像劇あたりのワードにピンとくる人もネタバレを踏んでしまう前にやってほしい。SF特化でキャラクターはどうでもいいって人は向いてないかもしれないが。

相当数いるであろう、アドベンチャーは好きなんだけどタワーディフェンスなんて出来る気がしなくて尻込みしているという人は四の五の言わずに買ってしまうべき。僕もタワーディフェンスは全くの守備範囲外なので正直遊ぶまでかなり不安だったが、チュートリアルが丁寧だし、複雑な操作を求められることもなかったので、全く問題なく楽しむことが出来た。超大型ミサイルのド派手さと爽快さは是非味わってほしい。

 

 

クリア後、各所で考察を読み耽ったり感想をを巡ったりしていたのだが、たまーに、要約すると「ゲーム性がない」から面白くなかったとわりとぼろくそに評しているものもあったりした。

合う合わないはあるのだが、その感想が出るって、よっぽど話に興味を持てなかった人か、このゲームに求めているものが違った人じゃねぇかなと思う。

追想編はたしかにゲーム性は乏しい。一本道だし、フラグ管理がパズルのようになっている部分もあるが数は多くないし、まぁ簡単に言ってしまえば話を聞いていくだけである。(誤解を生むといけないので補足すると、話を聞くだけ=ムービーゲーということではない。能動的に主人公を動かすことで話が進んでいくので、決して受動的な作りにはなっていない)

しかしそれが退屈かと言われたら全くそうは感じなかった。そもそも十三機兵の魅力は話の面白さである。序盤から中盤にかけては情報の嵐でひたすら謎が謎を呼びまくり何がどうなっているのか全く分からないまま話を進める必要があるが、この時、プレイヤーの多くは話の全体像や各キャラクターの関係性を自分なりに考察するはず。だから続きや真相が気になって追想編を進める手が止められなくなるのである。ゲームプレイとして斬新な面がないからといって面白くないって言い切ってしまう人は、このストーリーに対して何も頭を働かせなかったのかなぁ?と疑問に感じてしまう。

これが最初からアクセル全開で人気を獲得しなければならないジャンプの新連載であれば、序盤でクエスチョンマークしか浮かばないような展開を続けていたら打ち切りまっしぐらなわけだが、ゲームは基本的に最後まで遊ばれる前提で作られているんだから、話が掴めなくて面白くないんだけど…?なんて感じたとしてもすぐには見切りをつけずに、多少は我慢してプレイしてほしい。プレイヤーを信頼しているからこそこんな強気な話の見せ方が出来ているのだと思うし。

…と、ストーリーの魅力について語ってきたのだけれど、冒頭にも書いたが、SF特化の人には向かないかもしれない。というのも、ストーリーのSF的なギミックはSFに詳しければ詳しいほど驚きが少なくなってしまうからである。既視感を感じたり予想が当たっちゃったりもするだろう。流石に初見で前情報なしで全て分かっちゃうなんて人はいないと思うが。僕はなんとなく予想が当たったところもあれば、全くの予想外で驚いたところもあった。いやまぁ大半の人がそうなるのではないかと思うが。

ただ、十三機兵の肝はギミックそのものではなくて、それらのギミックの情報の開示の仕方やタイミング、そういった世界の中で各キャラクターがどのような心情で、どういう行動原理で動いているのかというところにある。追想編をプレイしていて主人公たちに愛着が湧かないなんてことはないはず。焼きそばパンを食べたくなっているはずである。ギミックが分かってしまったらつまらないなんてことはないと声を大にして言っておきたい。

 

また、追想編は追想という名の通り、いかにして崩壊編(タワーディフェンスパート)に至ったかが語られるパートなので、マルチエンドにはなりようがない。結末が決まっているんだから。それが大前提であるんだから、「一本道だから」面白くないって言われると、じゃあどうしたらよかったんだろう…と思う。

 

追想編が凄いのは、アドベンチャーパートながら、アドベンチャーゲームらしさを出来るだけ取り除いているところ。画面真ん中にキャラの立ち絵が出てくることもなければ、テキストウィンドウもない。よって地の文もない。

進行中に画面に表示される文字は基本的には各キャラクターのセリフのみ。セリフが発言したキャラの頭上に表示されるのだが、この時一度に表示される文章量がかなり少ない。このおかげで、フルボイスのゲームにありがちな「声は聴きたいけどもう読み終えてしまったので早くメッセージを送りたい。」、「喋るのが遅くてイライラする」ということにならない。このテンポの良さは凄い。この問題の最適解はこれかもしれない…。

個人的には立ち絵とテキストウィンドウのザ・アドベンチャーゲームも大好きなのでそれで構わないのだけれど、テキストウィンドウがあるだけで敬遠する層ってのは想像以上にいるらしい。「ゲームでなんで文字を読まなきゃいけねーんだ」という感じなのかしら。

十三機兵は見た目のアドベンチャーっぽさをなくすことで、本来であればアドベンチャーをやらない層にも届いているように感じる。アドベンチャーの新規IPで10万本以上売れてるってのは凄い。これからも口コミでどんどん売れていってほしい。

 

 

…なんだか面白くなかったという感想に対してそれはおかしいと噛みつく、否定意見を許さない過激派みたいな記事になっているかもしれないのだけれど、結局のところ合う合わないなので、未プレイの人がこの記事を読んでいるかどうかはさておき、興味があるけど迷っているという人は、是非とも体験版をやって判断してほしい。それで大体自分に合いそうかどうかは分かるはず。